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危険なICOにご注意を

ICO 海外のICO

2018.10.17
危険なICOにご注意を

仮想通貨を利用した資金調達「Initial Coin Offering (ICO)」は、トークンを発行することで、仮想通貨と引き換えて資金調達を行う手法ですが、ICOへの投資を巡って多くのトラブルや問題が発生しているケースも存在します。

今回は、アメリカ証券取引委員会(略称:SEC)が注意喚起のために発表している架空のICOプロジェクト「Howey Coins」を教材に、ICO参加時の注意点を紹介します。

1. ICOへの投資は自己責任

ICOは、企業がトークンを発行して、資金調達を行う手法です。

プロジェクトに興味を持った一般投資家は、仮想通貨を用いて投資をして、それと引き換えにトークンを得ます。その後、プロジェクトが開始されて、該当のトークンの価値が向上し、売却することで利益が得られる、という仕組みになっています。

ICOは株式等の投資と同様に自己責任で行う必要がありますが、現在海外で多く実施されているICOの場合、既存の有価証券投資とは異なり、カストディによる保護・管理、マーケットを通じた継続的な情報の開示等の仕組みが構築されておらず、投資家は自身で適切な管理・情報収集が必要となります。

1.1 ICOで資金調達したプロジェクトが実際に遂行される割合

2015年からこれまで、数多くのICOプロジェクトが発足していますが、ICOを用いて資金調達を行った後に、実際にそのプロジェクトが実行された割合は少ないのが現状です。

ビットコインのウォレットを提供している「Bitcoin.com」によると、2017年度におけるICOのプロジェクトは902件発足したとしていますが、その内46%の416件が失敗しているとしています。
416件の内、資金調達段階で失敗した件数は142件で、資金調達を行い稼働はしたものの、その後衰退した件数が276件であるとしています。

他にも、ICOコンサルティング会社のSatis Groupが掲載した内容によると、ICOの81%が詐欺であるとしています。それ以外にも、6%は資金調達段階で失敗、5%は資金調達を行った後に衰退したとしています。
プロジェクトが実際に実行された割合を正確に算出するのは難しいですが、これらのデータを見ている限り、大部分が何かしらの形で失敗しており、実際に実行される割合としては少ないことがわかるかと思います。

1.2 海外ICO案件には特に注意

現在も、ICOは海外で盛んに行われていますが、特に海外のICO案件には注意が必要です。国内の事業者や海外の事業者問わず、日本居住者を対象としたICOを行うなど仮想通貨の発行・交換を行う場合には、資金決済法に基づき、金融庁に「仮想通貨交換業」の登録申請を行う必要があります。
そのため、日本国内で仮想通貨交換業の登録を行っていない事業者が、日本に住む投資家向けにICOトークンの販売・宣伝を行う行為は、問題があります。

2. SECが発表した架空のICOプロジェクト「Howey Coins」

ICOを実施した後、実際にプロジェクトが遂行される割合が少なく、悪質なICO案件が増加していることを背景に、アメリカ証券取引委員会(略称:SEC)は、教育用の偽ICOサイトとして「Howey Coins」https://www.howeycoins.com/)を立ち上げています。

2.1 実際に存在するICOサイトとそっくりに作り込まれている

「Howey Coins」のWebサイトは、ICOのセール情報の他、ホワイトペーパーの公開、メンバーの情報といった基本的な要素で構成されています。また、セールのカウントダウンなど、人間の心理につけこんで実際に行動を起こさせる仕組みも取り入れており、実際に存在するICOサイトと同様に作りこまれています。

2.2  ICOの購入ボタンをクリックするとSECの警告ページにリンク

Webサイト内の購入ボタンである「Buy it Now!」をクリックすると、SECが運営する投資家向けWebサイト「Investor.gov」に遷移し、このサイトが偽物であることの警告がされます。(ICOの購入ページには遷移しませんのでご安心ください。)

同ページに記載されている警告内容は、詐欺的なICO案件でよくありがちな5つのことが解説されています。

3. 「Howey Coins」からわかるICO参加時の注意点

SECが公開している「Howey Coins」から検証した、ICOに参加する際に注意すべきとしているケースは以下5つです。

3.1 高いリターンを保証することを謳っているケース

高いリターンを保証することを謳っているケースや、見逃すべきではないと謳っているケースは要注意です。

仮想通貨に限らず、すべての投資においては大なり小なりリスクを伴います。ICO投資において記載されている数字はあくまでもプロジェクト側が宣言しているだけであり、リターンを保証するための数字ではありません。逆に、元本割れを伴うリスクもあります。リスクがなくて、高いリターンを保証する投資商品は無いと肝に銘じておくべきです。

3.2 映画スターやスポーツ選手など有名人が投資を推奨しているケース

成功している映画スターやスポーツ選手などの有名人が投資を推奨しているケースや、対象の投資において成功している様子を公開しているようなケースでも注意が必要です。

サービス提供者としては、有名人を活用するのはプロモーション効果が高いという利点があります。しかしながら、有名人が推奨しているからといって、必ずしも全ての人に良い投資対象であるとは限りません。また、ICOの場合には、有名人の名前や写真が勝手に利用されているケースも発生しています。

3.3 SECの基準に準拠していることを明言しているケース

SECの定める基準、つまりアメリカの証券法に準拠していることを明言しているケースについても注意が必要です。

SECは、投資家を保護するために、株式や公社債といった有価証券の取引を監督および監視を行っています。実際にSECにICOを登録する際には、厳格な基準に基づいて登録可否を判定されます。

証券法に準拠していると虚偽の明言をすることで、多くの投資家に誤解を与え、結果として誤った投資判断を下してしまう人が増えてしまう事態が発生しています。また、こうした行動は、SECの「安心して証券の取引ができる環境を提供する」という本来の役割に対して、その信頼性が低下してしまうことにもつながります。

SECのような公的機関の声明については、必ずその公的機関自身の情報ソースに当たりましょう。

3.4 クレジットカードで投資ができることを謳っているケース

クレジットカードで投資ができることを謳っているケースについても注意が必要です。

仮想通貨に限らず、投資を行う場合、認可がでている投資会社が投資家に対して資金を集めるためにクレジットカードを使用することは禁止されています。

3.5 ポンプとダンプのスキーム

ポンプとダンプのスキームとは、株価を釣り上げるために「この企業の株価は買いだ!」といったスパムメールを送信することで株価を吊り上げて、株価が上昇したタイミングで利益確定を行い儲けようとする悪質な手法のことです。

スパムメールを受け取った人々は、このメールの内容を信じて株を購入しますが、犯人が利益確定をしたタイミングで大幅に株価が下落することになります。そのため、メールにあおられて対象の株を購入した人々は損失を出すことになります。

日本国内ではこのような手法は少ないですが、アメリカではこういったスパムメールは時々出回っており、注意喚起がされています。

株式でも仮想通貨でも同じですが、対象の銘柄に対して買いを推奨するようなメールを受け取った場合には、その内容を安易に信用するのではなく、警戒し決して資金を投じないことが重要です。

4 .まとめ

ICOへの投資は、全て自己責任であることを認識した上で行動することが重要です。特に、海外のICOの場合、日本における仮想通貨交換業への登録有無が焦点となってきます。

SECでは、近年増える悪質なICOに対する注意喚起を目的に、偽ICOサイト「Howey Coins」を公開し、悪質な投資の勧誘でありがちな手口を紹介しています。

投資は、ハイリターンハイリスクの法則のとおり、成功できれば高い利益が得られることができる反面、失敗すれば投資した金額同等の資金を失うリスクがあることをあらかじめ認識した上で、投資の決断を行うべきでしょう。