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【社長BLOG】設立一周年を迎えて~これまでの歩みと今後の抱負

GEMSEE SBI CapitalBase 社員BLOG

2018.10.11
【社長BLOG】設立一周年を迎えて~これまでの歩みと今後の抱負

 SBI CapitalBaseの設立は2017年10月11日、本日で一周年を迎えます。この一年は仮想通貨業界にとっては正に激動の一年であり、様々な出来事がありました。事業環境・マーケット環境・規制動向も大きく変化し、戦略の見直しを迫られた一年であったかと思います。今回はこれまでの歩みを振り返りつつ、今後の見通しについてコメントしたいと思います。

2017年創業直後のピボット

 実を言うと、設立当初は仮想通貨交換業の取得は考えておりませんでした。2017年8月・9月時点において、日本ではICOをするために仮想通貨交換業登録は必須ではありませんでした。正確に言うと、業登録が必要・不要という見解が行政機関から公表されておらず、事業者が各々リスクを勘案しながら判断する状況でした。

 上記に変化が訪れたのは、金融庁による注意喚起文章の公開により、プロジェクトの性質によって資金決済法・金融商品取引法の適用を受ける旨の周知がされたことがきっかけです。詳細を確認してみると、実質的には仮想通貨の定義を行政裁量において可能な限り幅広に解釈し、実務において無秩序なICOを制限するものであることが判明しました。合法的にビジネスを遂行するために必要な仮想通貨交換業の取得を決意したのが2017年12月であり、創業2か月にして最初の転機が訪れました。

2018年初から春までの活動

 ライセンス取得に向けて動き始めた我々を襲った事件が、ご存知のコインチェックによる仮想通貨の流出事件です。本件から事業者が学ぶべきことは多くありますが、登録申請準備中の事業者の立場から見る限り、本件によって「新規登録審査の麻痺」・「審査基準の見直し」・「システム要件・内部管理体勢の高度化」が発生しました。

 結果として、内部での開業準備は進めつつも、開業に向けたライセンス取得が一向に進まないという状況が発生しました。各種報道で100社以上の事業者の参入待ちとも言われる中、弊社の審査も遅々として進まず、当初目標であった2018年春の開業が延期となりました。

2018年春から現在までの変化

 春以降、いくつかの変化が業界に訪れたかと思います。ひとつは、統合的な業界団体を設立し、認定協会を目指す動きが加速したことです。これまで仮想通貨業界は複数の業界団体が並立している状況で、どの団体が認定団体として外部との折衝をこなしつつ業界全体を取り纏めていくか不透明でした。結論としては、既存の団体は残しつつ、上記目的のための新団体(JVCEA、会長:奥山泰全氏)を立ち上げ、業界をリードすることになりました。JVCEAには業登録済みの事業者が会員として加盟し、認定に向け自主規制ガイドラインの策定等の準備を進めています。

 第二の変化は、米国を中心としたICOスキームの変化です。昨年までの主流であったユーティリティトークンの発行から、証券型トークンの発行による資金調達に大きくシフトしたことが印象的でした。昨年ICOがブレイクした直後から、そのスキームの問題点は様々指摘されており、より良いICOの在り方が議論されている中、米国においてはICOトークンの有価証券該当性が問われることとなり、結果として有価証券に分類されるトークンの発行による資金調達がブームとなりました。(上記手法は一般的にSTO=Security Token Offeringと呼ばれることが多いです。)証券型トークンに関しては、新しい法律が制定されたわけではないので、プロジェクトが既存のルールに適合するように外部環境に対応した形となります。これによって、投資家の権利が明確になり、これまでの一方的に調達企業有利なモデルが一定レベル是正されたのではないかと思います。ただし、まだまだ手探り段階の調達スキームであることは否めないので、投資家・調達企業の両社にとってよりフェアな調達モデルの確立が望まれます。弊社においても、より良いスキームの開発に向けた検討を進めております。

 第三の変化は相談プロジェクトの傾向変化です。設立初期に比べICO相談を受ける案件のレベルが全体的に向上し、面白い案件が増えてきました。発行予定のトークンをエコシステムの中でビジネスとどうリンクさせ効率的に活用するか、きちんと検討された案件が増えた印象を持ちました。トークンとビジネスが切り離された関係ではなく、不可分な形で作用しつつ、既存の株式等の有価証券とは異なる形で組織・プロジェクトに影響を与えるよう設計されたプロジェクトはとても綺麗なモデルだと思います。一般に株式は会社の所有権を示し、債券(債権)は請求権を示しますが、トークンは何を示しているのでしょうか? 当然ながら会社法や金商法を参照しても答えは見つかりません。業界関係者は今後、トークンが何を表章しどのような価値を体現しているのかを外部の方が納得する形で説明できるようにしなければならないと思います。そのとき、ようやくICOが何なのかが立証されるのではないかと思います。

現状の課題と今後の抱負・展望

 ここまで2017年10月からの一年を振り返ってきましたが、事業者にとっては本当に大きな変化の連続でした。歪みが解消されずに急成長した業界に対する試練の一年と言えるかもしれません。これまでの仮想通貨業界は子供のような存在であり、ある程度やんちゃも許容されてきました。しかしながら、これからは大人としての振る舞いが求められ、厳しい目線に晒されることになります。産業としては発展に向けた動きだと理解できますが、直近のZaifの事件やみなし事業者の買収を見る限り、成長痛に耐え切れない事業者が散見されます。

 仮想通貨ビジネスはグローバル志向が強い産業であり、独自ルールによるガラパゴス化は避けるべきシナリオです。容易に国境を超えるビジネスにおいて、特定地域における厳格な制度の適用は、ミクロな視点での安全性の向上に繋がるかもしれませんが、産業の競争力低下は否めません。日本に関しては、昨年時点においては世界でも先進的な国として認知されていましたが、今年の度重なる事件・事故による「新規ライセンス発行件数ゼロ件」が認知されるようになってからは、特に海外のプロジェクトの引き合いが弱くなりました。海外プロジェクト関係者は当局の動きを敏感に感じ取り、春以降は日本スルーが目立つようになりました。

 どのように環境を改善すべきか非常に悩ましい状況が続きますが、短期的には、米国の事例を参考にしつつ、証券型トークンを用いたスキームが検討できるのではないかと考えております。既存の法律の範囲内において商品・サービスを設計することで、これまでのICOとは異なり、自主規制やルールの策定を待たずに事業が開始できるのではないかと考えています。中長期的には、自主規制団体によるルール整備等を通じ、事業環境をクリアにし、参入を希望する事業者が困惑することのない運用が望まれます。弊社でも「証券型トークン」と呼ばれる商品の設計調査中で、外部弁護士のレビューを受けつつ、現行法に適用する新たな商品開発を進めており、関係当局のフィードバックを待っている状況です。サービス詳細については、公表できる段になりましたら改めてご案内させていただきます。

 ここまで仮想通貨とICOにフォーカスして振り返ってきましたが、SBI CapitalBaseは元々、仮想通貨を含む多様な資金調達をサポートし、投資家と調達企業をマッチングさせるためのプラットフォームとして設立いたしました。故に当然ながら、ICO以外のサービスについても準備中です。現在、株式投資型クラウドファンディング(第一種少額電子募集取扱業)を含むいくつかのサービスについて検討を進めております。従来開催しておりましたICO相談会は、規制の大枠が見えるまで一旦休止し、株式投資型クラウドファンディングの事前相談会を近日中に開始できればと思います。本件の詳細についてはお知らせを参照ください。