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【社長BLOG】成長ステージに応じた最適な資金調達の実現に向けて

GEMSEE SBICapitalBase

2018.08.01
【社長BLOG】成長ステージに応じた最適な資金調達の実現に向けて

 SBI CapitalBase代表取締役の佐藤です。初回の投稿ではGEMSEEプラットフォームの背景・由来を紹介させていただきましたが、3回目となる今回は、“Gemstone(原石)とSeeker(探究者)”をどのようにマッチングさせることが双方の満足度の最大化に繋がるか、そのために弊社がどのようなサービスを提供することが必要かを考えてみます。

調達バリエーション多様化の効果

 GEMSEE Finance Platformのコンセプトとして、私はサービスの多様化を重視しています。本当は調達ニーズを抱える企業の数だけソリューションを提供したいのですが、現実には、ある程度ニーズを類型化し、それぞれのパターンにフィットするサービスを設計することになります。

 仮に、資金調達の相談に来られたクライアントに対して提供できるサービスが1種類しかない場合、クライアントのニーズに最適化されているか否かに関わらず、弊社が提案できるソリューションは限定されてしまいます。本来ならばエクイティ調達が相応しいクライアントにデットファイナンスを提案するような事態が起こり得ます。

 これでは「成長ステージに応じた最適な資金調達を通じた成長支援」というプラットフォームの目指す価値と齟齬が発生し、我々の事業目的の一つである「資金調達支援を通じたベンチャーエコシステムの活性化・新産業を育成・創造」の実現と反するものとなります。よって、我々は価値あるプラットフォーマーとして、クライアントに提案できるサービスの拡大に拘りたいと思います。

 とはいえ、これはステップ・バイ・ステップで着実に進めていかなければならず、また事業ポートフォリオの戦略も必要となります。複数アセットクラスのサービスを検討した場合、株・債券といった既存商品から、クラウドファンディング・ICOのような新しい商品まで広くカバーすることが、調達企業・投資家双方のニーズを満たすためには重要になります。

 次に、どのサービスから提供していくことが価値の最大化に繋がるかを考えます。昨年の仮想通貨の勢いは凄まじいものがあり、SBI CapitalBaseの設立当時(2017年10月)、市場拡大の波に乗るべく、仮想通貨を対象としたファイナンスサービスとして、はじめにICOプラットフォームの提供を目指すことを決めました。

 仮想通貨交換業の登録を目指す業者が金融庁に列を作る最中、2018年1月にコインチェックの事件が起こり、今年は1件も新規の交換業登録がおりていないのは周知の事実ですが、弊社もその煽りを受け、現時点においては未登録です。認定団体の活動、自主規制ガイドラインの準備、金融庁主導の研究会の動向など、注視すべき事項は多い状況ですが、残念ながら国内においてすぐに事業環境が改善するのは難しいように見えます。

 そこでSBI CapitalBaseは、交換業登録が不要な仮想通貨関連サービスを模索しつつ、これまで蓄積した仮想通貨のナレッジを活かした商品設計を目指し、付加価値の高いサービスをお客様に提供することが、他社との差別化に繋がるのではないかという仮説を元に、春以降は派生商品の検討を継続しています。もちろんロードマップには株式やクラウドファンディングなどのサービスも含まれており、どのサービスをどのような順序で提供すべきかの再整理も進めています。

各調達手法の特徴

 ベンチャーファイナンスの王道はやはり株式による調達となります。昨年はICOによるクリプトファイナンスが急激に伸びましたが、少なくともしばらくの間はエクイティが主軸であることは間違いないかと思います。ただ、徐々にエクイティとクリプトの垣根が薄まり、双方の性質を有した商品・サービスが設計される可能性は多分にあり、将来のデファクトになる可能性もあるのではないかと個人的には思います。

 株式を用いた調達は、創業期から上場間近まで、全ての期間において選択可能な手法です。調達額もニーズに応じて柔軟に設計可能で、種類株を用いることで株主の権利をカスタマイズすることもできるので、まさにベンチャーファイナンス王道と言えます。金額の多寡に応じた上限一億の株式型クラウドファンディング、エンジェル投資家(個人)からの出資、VC・CVC(プロ)からの出資、など様々なパターンが存在します。

 調達手段としては一番ポピュラーな手法なので、最初に検討するのが株式ですが、上記のとおり誰から出資を受けるのか、どのような条件(普通株・種類株・SO)で発行するのかなど考慮すべき事項が意外と多いのも株式です。出資を受ける相手に相談するもの良いですが、中立的な第三者に相談するのも有効で、GEMSEEプラットフォームでは、資金調達の上流でどのような順序で、どのような手法で調達することがベストな資本政策に繋がるかをクライアントに示していきたいと思います。将来的にはベテランコンサルのノウハウをWebベースのサービスに落として、低コスト・スピーディなサービスの実現を目指します。

 エクイティファイナンスの対極に存在するのがデットファイナンスであり、これは債務として扱われます。ゼロ金利・マイナス金利が続く日本において、信用力の高い企業にとっては効率的な調達手段となりますが、信用力・格付けが不安定なベンチャー企業にとっては取扱いが難しい手法となります。(短期的な少額融資を除く)未上場ベンチャー企業でも安定成長・売上の継続拡大が望まれるタイミングで持分の希薄化を避けたい場合などは、レバレッジを活かしたデットファイナンスは有効で、効率的な事業拡大が期待できます。

 日本においては、金融機関等の担保付融資以外の手法で未上場企業が大型借入を実施できる環境が整備されておらず、事例も少なく、多くの起業家の選択肢から外れてしまっている状況です。投資家も、未上場企業への投資の場合は固定クーポンよりも株式によるキャピタルゲインを望む傾向にあるのも一因かと思います。

 近年、トランザクションレンディング・データレンディングなどと呼ばれる融資の手法が話題になることが多いですが、その発想を拡張して、日々の取引データから短期的に必要な資金を融資するだけではなく、中期スパンの事業投資に必要な借入資金を複数の投資家から簡易に調達する仕組みを構築することで、適切なリスクマネーの供給が実現できるのではないかと思います。将来的にはGEMSEEプラットフォームで上記課題を解決するサービスの提供ができればと考えています。

 株式と債券の性質を有したハイブリッド証券という分類もあります。テクニカルな要素が多く、個別ケースごとに条件がカスタマイズされることが多いので詳細は割愛しますが、仮想通貨オプションを含んだ新しい商品を組成することで、投資家の多様なニーズを満たしつつ、調達企業にとっても望ましい商品ができるのではないかと思います。この領域は金融とクリプトが交差する場であり、両方を事業ドメインとして置いているSBIグループらしさが発揮できるのではないでしょうか。

 資本・負債どちらにも分類されない調達手段として、購入型クラウドファンディング(以下、CF)が存在します。一般に購入型CFは前受金扱いで売上計上されます。これは株式や債券等の有価証券ファイアンスとの大きな違いであり、税金も考慮しなければなりません。CFは小規模~中規模の調達に向いており、実験的な要素を含んだプロジェクトが多いことからも、製品量産化前のプロトタイプの開発、マーケットにおける需要調査を兼ねた手法と言えます。CFを通じて製品・サービスの認知度を向上させ、ファンの獲得・製品の改善が実現できれば、次は本格的な事業化に向けた資金調達へと繋がります。

最後に

 企業おける資金調達は、ステージ・目的に応じて計画的・継続的に行われるべきものであり、CFのような非伝統的アプローチも企業のライフサイクルの中で有効な場面が存在します。SBI CapitalBaseでは、企業のライフサイクルを意識し、金融・非金融を織り交ぜながら新しい商品・価値の提案を目指します。これまで検討を進めていたICOの要素を別商品・サービスに応用することができれば、独自サービスの提供が可能になり、我々の付加価値にもなります。まだまだ公表しにくい部分が多い状況ですが、日々新しいファイナンスの形を追求しておりますので、相談をご希望の調達企業の方はお問い合わせフォームから必要事項をご記入のうえご連絡ください。弊社コンサルタントがご相談内容を確認し、順次ご連絡を差し上げます。