BLOG

TOP > BLOG > 【社長BLOG】猛威を振るった「これまでのICO」と未来を創る「これからのICO」

【社長BLOG】猛威を振るった「これまでのICO」と未来を創る「これからのICO」

GEMSEE ICO

2018.07.04
【社長BLOG】猛威を振るった「これまでのICO」と未来を創る「これからのICO」

SBI CapitalBase代表取締役の佐藤です。今回の第二回目の投稿では、ICOの派生パターンについて考察してみたいと思います。昨年ICOがブレイクして以降、多数のICOが行われてきました。その中で徐々にICOの派生形とでもいうようなスキームや考え方も登場してきています。今後の仮想通貨を用いた資金調達の幅を広げる意味でも、どのような可能性が考えられるかを整理してみるもの有用ではないかと思い、一部を整理がてら喋ります。

 

既存調達手段と比較したICOの特徴

個別スキームの紹介に入る前に、ICOの特徴を明確にしておきたいと思います。調達サイドの目線でICOを評価すると、「資本と見做されない・負債扱いされない・売上計上され課税対象となる」などの、既存の資金調達手段と異なる点に気付きます。

株式の発行とは異なるので発行体の持分希薄化は発生しません。また、社債のような借入とも異なるので調達資金の返済義務も発生しません。これだけ見ると調達側に一方的に有利な条件の調達手法に見えます。実際にこれまでのICOでは、上記の調達有利な性質を悪用し資金を集めるだけの詐欺案件も多数発生しています。

既存の資金調達手法の場合、資本や負債に組み入れられることもあり、調達資金は売上として取り扱われることはなく、課税対象となることもありませんでした。しかし、ICOの場合は「トークン」というデジタルデータを販売しているように見えます。現状、有価証券に分類されないトークンは、上記の整理によって法人税の課税対象となります。(各国毎の解釈の相違は無視し、ここでは一般論として記載しております。)

これは、今までの資金調達では検討不要であった課題であり、ICOではいかに効率的に目的のプロジェクトに資金を投下し、事前に開示したホワイトペーパー・事業計画に沿って事業を推進していくかという工夫が必要です。調達である以上、集めた資金は出来る限り効率的に投資し、効果を最大化にする義務が調達サイドには存在します。ICOを検討している調達企業はこのことをよく心に留めてもらいたいと思います。

同時に、上記の課題を解決する策として、調達した資金の段階的な割り当て(DAICO)というような概念も登場してきています。これはEthereum(イーサリアム)のVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)考案のスキームで、詐欺的案件の防止、プロダクトの完成、プロジェクトの品質向上等に貢献されると考えられています。弊社でも、ICOプロジェクトを成功させるためのフレームをいくつか検討しており、一案として段階的なICOプロセスの検討を進めております。

通常のICOでは、10億円の目標金額が設定されている場合、10億円の調達を目指してトークンセールが実施されます。この10億円の根拠は、プロジェクト計画から必要な予算を細分化し、複数の事業シナリオをシュミレーションしたうえで、妥当性のある金額が決定されるものですが、プロジェクト始動当初に10億円が一括で必要なことはまずありません。単年度で必要な予算は総額の1/3~1/5程度ではないかと考えられます。

上段の資金効率・税制の件もあり、多額の調達が必ずしも正解とは言えない状況が存在し、ICO時点においてはプロジェクトの不確実性が高く、評価しきれない部分が存在することも考慮すると、調達時期をずらして2回・3回に分割することも有効ではないかと考えます。これは一般に「マイルストーン型ICO」と呼ばれる考え方であり、初回ICO時に開示したロードマップに沿ったサービス開発が実施され、ステークホルダーによって評価された場合に限り、継続に必要な追加資金のICOが実施できる仕組みです。

この場合、投資家は自己のリスク許容度に応じて初回のICOに参加するか、2回目以降のタイミングで参加するかを選択可能となります。2回目のICOが実施されるプロジェクトは実態が存在し、プロジェクトが正常に進行していることが確認できるので安心して参加することが可能です。ただし、プロジェクトの期待値が上がったタイミングでのICOなので、初回に比べるとリスクが低下しているため投資のトレードオフが発生し、初回価格に比べて一定のプレミアムが上乗せされた価格が適正になるかと考えます。

昨年猛威を振るったICOは、上記のような概念とは無縁のものでした。「マイルストーン型ICO」はそのような経緯の反動として生まれたスキームとも言えるかもしれません。無法地帯においては多くの場合、天秤は一方に傾きます。昨年のICOは圧倒的な調達企業優位で進められてきました。今年は逆に投資家保護が叫ばれ、一斉に規制適用に向けたルール整備が進められています。

ルール整備は必要不可欠ですが、直近の状況を見ている限り、効率的なルールメイキングが進んでいるようには見えません。無法地帯の放置は健全な市場の発展を考えれば見過ごせないわけですが、過度な投資家保護が必ずしも最良とは言えないと思われます。そもそも「既存の金融規制の外で誕生したビットコインが源流の仮想通貨」と「仮想通貨の販売を通じたプロジェクト資金の調達」を既存金融規制の枠で管理しようという発想に限界を感じます。

飛翔する鳥と天秤はファイナンスによる成長と
プラットフォーマーの公平性を意図する

もちろん援用できる考え方は積極的に採用した方が良いと思われますが、新しい概念・仕組みに対して無理に既存のフレームを適用することは、サイズの合っていない服を強引に着せるようなもので無理が生じます。これまでも、新しい潮流に法律が追いつかず、後追いの規制で対応することは多々見られました。過去において金融の世界では各国毎の規制のウォールが強く作用し、サービスが国境の壁を超えるのは容易ではありませんでしたが、仮想通貨の場合、その出自からして国境の概念が存在せず、グローバル・無国籍な属性を有しています。

そのような仮想通貨の特徴を鑑みるに、各国毎の規制はさほど有効には機能せず、規制のアービトラージとでもいうべき現象が発生することが予測され、現にそのような兆候が見受けられます。仮想通貨は独自の性質を有し、金融商品のようにも決済手段のようにも、様々な形で機能します。ビジネスへの応用は特徴を十分に理解したうえで取り組むべきであり、規制も同様で、その実態に即したものであるべきかと思われます。

 

プロジェクト目的達成を目指した新しいICOの模索

私は前回記事(「原石」と「探究者」が出会う場所)で“ICOは手段であり目的ではありません”とお伝えしました。ICOの目的は、資金調達を通じて何らかのプロジェクトを実行し、サービスを提供することです。この場合、資金調達自体は目的達成のためのプロセスの1つであり、ICOは多数存在する選択肢の中の1つにすぎません。

ICOの場合、調達対価として販売されるトークン自体が、将来提供予定のサービスにおけるネットワークアクセス権やサービス利用に用いられるところに、これまでに資金調達との違いを見てとれます。ICOの目的を「資金調達を通じたサービス開発とトークンを活用したエコシステム・コミュニティ(トークンエコノミー)の構築」と定義すると、必ずしもこれまでのICO手法に拘る必要はないのではいか?という疑問が生じます。

昨年10月の設立から早くも半年経ちましたが、積極的なプロモーションを実施していなかったにも関わらず、数多くのお客様からプロジェクトに関するご相談を受けております。共通するところはありますが、どのプロジェクトも固有の課題・問題意識・ビジネスゴールを持っており、必ずしも画一的なICOが最適とは限らない、ということを実感しています。

つまり、“プロジェクトの性質に応じたより相応しいプランの提案”、これがプラットフォーマーに求められる役割ではないかと私は考えております。投資家と調達企業を繋ぐプラットフォーマーとして、前項で触れた無法地帯の改善、フェアな取引環境の整備と併せて、実態に即したICO派生形の必要性を、最近は強く感じています。

前述のICO定義と、プロジェクト毎の多様性を考慮した結果、派生形として「ファンドスキームを活用した案・オプションを活用した案・クラウドファンディングを活用した案」について、内部で実現の可能性やニーズ・メリットを加味し、議論を進めております。それぞれ適用される法律や想定されるライセンスが異なり、投資家の権利や調達企業の責任も、これまでのICOとは異なるものになることが予測されます。ただし、ICO定義とプロジェクトの目的達成という軸がブレることはなく、投資家と調達企業のそれぞれの権利・義務のバランスを考慮しつつ、社会的にも受入が容易な形、と言えるのではないかと思います。

各スキームについてはまだまだ非常に柔らかい状態で、法律家・行政等の必要な組織への確認を並行で進めている段階であり、現時点において実現の目処が立っているものではありませんが、ニーズに応じた商品設計・サービス提案は、プラットフォーマーの存在価値とも言い換えることが出来ると思いますので、詳細を詰めつつ新たなスキームを提案できるよう励んでいきたいと思います。

各スキームの詳細は、全体の整理が進んだ段階で、改めてブログやセミナー等のイベントを通じて展開したいと思います。今回は、ICOの特徴を整理し、定義を明確にしたうえで、個々のプロジェクトの多様性を踏まえた新しいスキームの可能性まで紹介いたしました。記事の詳細・新しいスキームについてより詳しい話、プロジェクトの相談をご希望の調達企業の方はお問い合わせフォームから必要事項をご記入のうえご連絡ください。

最後に一言。

ICOは生まれたばかりの新しい手法です。これといった決められたフレームが存在するわけでもなく、ルールも整備途中です。発行されるトークンは良貨にも悪貨にもなりうる可能性を秘めています。活用の仕方に創意工夫が求められる手法だからこそ、その使い方が問われています。弊社では形に拘ることなく、「GEMSEE」の名に込めた想いを実現すべく、個々の調達目的に最適化した提案を心掛けていきたいと思います!